(バーチャル)リアリティを注入せよ!
現実とは大きく異なる、広大に広がるファンタジーワールドへといざない、てんやわんやの日常世界から私たちを引き離してくれるのがビデオゲーム。一方で、質としては壮大なものからゴミレベルのものまで、現実世界にインスピレーションを得たタイトルは山ほどあります。
さらに、こうしたタイトルにはたんまりと長年にわたる議論が沸き起こってきました-イベントの描写についての疑義であったり、世界で暗躍する者たちにとってのプロパガンダとして機能していたり…。
ということで、前置きもこの辺に、現実世界の出来事にインスピレーションを得たゲーム5選を振り返っておきましょう。
目次:
- ブラックウォーター
- This War of Mine
- ホラート
- L.A.ノワール
- Papers, Please
ブラックウォーター
まずはなかなか秀逸なFPS、ブラックウォーターから。2011年のリリース時には大きな話題になりました。現実世界の紛争を描写したゲームは多くあるものの、現実世界で大変議論になっている同名の傭兵会社のメンバーがイラク市民を殺害したわずか4年後に発売されたのがBlackwaterでした。
イラク戦争といえば、これはSix Days of Fallujahとのタイトルのゲームのインスピレーションともなっており、このゲームでは米海兵隊によるファルージャの戦いを中心にしたストーリーとなっています。偶然にも、ディベロッパーであるAtomic Gamesは米・イラク戦争の退役軍人へのインタビューを含めた入念な研究を行ったものの、世間からの反発によりプロジェクトは途中で放棄されました。
This War of Mine
紛争テーマつながりでのお次のタイトル、今週の2本目はThis War of Mineです。定番戦争ゲームにかなり変わったテイストを持ち込みました。
サラエボ占領とこれがボスニア社会にもたらしたインパクトにインスピレーションを得たこのゲームは、その視点を戦場から戦争中に人々が被った悲しみへと移しています。結果として、戦時中に起こる死、飢餓、疫病の苦難を深淵にとらえており、生き残るために直面する困難なモラルのジレンマと向き合うことになります。
ホラート
自分のうちに眠れるシャーロック・ホームズ魂を呼び覚ましたいのなら、ロシアの歴史の中でも最も解決困難とされるミステリーの1つ、ホラートをプレイすべし。ウラル山脈で9名のスキーヤーが痕跡なく蒸発したディアトロフ峠事件の調査がテーマとなったこのゲームでは、この登山者の冒険ルートの痕跡をたどります。
ここで問われるのは、ミイラ取りがミイラになってしまうのか?ということでしょう。
L.A.ノワール
今度は、毛色を変えた探偵魂をくすぐるL.A.ノワールです。舞台は1947年、L.A. Noireは探偵コール・フェルプスがロサンゼルスの暗がりの通りで起こる犯罪と戦い、実際に起こったものも含めたいくつもの殺人事件を解決していきます。
その事件の1つが、ジェンヌ・フレンチ殺人事件、遺体の胸に踏みつけられ残ったB.Dのイニシャルから多くの人が犯人はブラック・ダリアだと推測していました。ぞくぞくするような話ですが、とことんハマれるこのゲームの中でも最も手に汗握る事件の1つとなっています。
Papers, Please
今週のオオトリはこれ、極限の忍耐力を試されるタイトル、Papers, Pleaseです。このゲームの基本的な前提ですでに、十分と言えます。抑圧的な政治を敷く国の国境警備員として、入国させる人を選別する役目を追うのがゲームプレイ。
しかし、Papers, Pleaseは急激に難易度が上がり単純ではなくなり、どんどん複雑な問いかけが投げかけられ、同時にそれを処理する時間が少なくなっていきます。さらに、1つ間違えただけで深刻な結果につながり、クビになったり自爆テロの犯人を入国させたりします。
それだけでは足りんとばかりに、このゲームには複数のエンディングがあり、投獄されたり処刑されたりするのです。
罰を逃れるのにうまく立ち回れる自信がある?ならこのゲームをぜひお試しあれ!でも、言っておきますからね?小心者には無理なゲームです。